最後の挑戦。21年目の決意
初めまして。庭園デザイナーの石原和幸です。
私にとって、これが最後となるチェルシーフラワーショーへの挑戦になります。
21年間、出続けてきました。簡単な舞台ではありません。それでも、最後は自分の足で立って、やり切りたい。
そのための資金、そして現地で共に庭を創る仲間を募るため、今回、皆さまにお願いに上がりました。
世界のゴミ箱は、宝の山だった
「金メダル13回」「エリザベス女王に称賛された男」そう紹介されることが増えました。
でも、私は長崎県の小さな花屋から始まった人間です。今も、私は一人の花屋です。
2003年、初めてチェルシーに挑戦した時、お金はありませんでした。
実家を売って2500万円を作った。それでも足りない。
会場でゴミ箱を漁りました。捨てられたレンガや箱を集めて、庭を作った。
惨めだと思われたかもしれません。でも私は思いました。
世界のゴミ箱は、宝の山だと。
「ない」と嘆くのではなく、「ある」で最高を創る。
それが、私の原点です。
花屋には、大義がある
21年挑戦し続け、世界一にもなりました。
でも、ある日、ふと気づいたのです。
日本の「なりたい職業ランキング」から、花屋が消えていました。
調べてみると、年間80件もの花屋が店を畳んでいる。
儲からない。大変そう。夢がない。
その現実に、胸が締め付けられました。
私は、世界で戦ってきました。
花屋には大義があると信じているからです。
私は英語が話せません。しかし、エリザベス女王、チャールズ国王、各国の首脳と笑顔で言葉を交わしてきました。
なぜか? それは「花と緑」が世界の共通言語になってくれているからです。
まだまだ、私の力不足で、こんな素晴らしい大会があることを、日本人の多くは知らない。
けれど、花屋が単なる花を売っているだけではないことを伝えたい。
だから、チェルシーにずっと出続けてきました。そして結果を出し続けてきました。
本当に皆さんのおかげで、何度も「世界一」になることができました。
2003年からチャレンジし続けて21年。
毎年1億何千万とかかるわけです。
皆さん簡単に「次も」と言いますが、スポンサーが集まったとしても2000~3000万。残りは自分で作るしかない。
それでもなぜやるのか。
ガーデンの世界でこの世界一の大会、これ以上地球上にない大会に、国王も来られる場所に「庭師」として参加できる。これは人生の誇りです。
そして昨年、私にとって大きな転換期を迎えます。
父から息子へ、魂の継承
2025年、息子・潤がチェルシーでシルバーギルトメダルを受賞しました。
嬉しかった。本当に嬉しかった。
でも同時に、息子からこの役目を引き継ぐよと言われているように感じました。
幾つになっても将来の夢を持っていたいものです。
だからこそ、私は2026年の大会を最後にし、自分しか叶えることができないであろう、まだ誰もなしえていない巨大な挑戦に向かうことにしました。
2026年の作品「さぬまやの庭園」
2026年のチェルシーフラワーショーで発表する庭は、「さぬまやの庭園」という作品です。
かつて「さぬまや」という呉服店があり、そこには大家族が暮らしていました。家の中には床の間があり、そこからは美しい景色を眺めることができたそうです。
家族が多かったため、床の間は食事の場として使われることもあり、大切なお客様を迎える際には応接間として、庭を眺めながら語らう空間にもなっていました。
素晴らしい景色の中で、家族が集い、地域の人々が集まる――そんな豊かで温かな時間が流れる、特別な場所だったのです。
しかし今では、こうした床の間のある暮らしは少なくなってしまいました。だからこそ私は、あらためて床の間の価値を見つめ直し、家族の団らんや地域とのコミュニケーションが生まれる空間として、「床の間ガーデン」を現代に提案したいと考えました。
美しい庭があることで、人が集い、心が通い合う。
今の時代だからこそ、こうした空間が必要なのではないでしょうか。
その想いを込めて、間もなくチェルシーフラワーショーへ参ります。ぜひ皆さん、私の庭を見にいらしてください。
花で世界平和を実現する
私の次の挑戦。それは、世界平和です。
何を馬鹿なことを、という人もいると思います。
もちろん、私一人でできるとは思っていません。
それでも、世界平和へ地球が向かう一歩になりたい。
私は、「花で世界平和を実現する」というスローガンを掲げ、残りの命を使うことに決めました。
実は私は、被曝二世です。
長崎で生まれ育ち、戦争の影を身近に感じてきました。
直接戦争を経験したわけではない。
でも、戦争が残した傷は、確かにそこにありました。
だからこそ、私は思うのです。
争いのない世界を、次の世代に残したいと。
その想いが決定的になったのが、2025年の大阪万博でした。
サウジアラビアのパビリオンの庭を作ってほしいという依頼が舞い込んできました。
予算はなんと、280億円。
聞けば、紛争に使われるかもしれなかったオイルマネーだそうです。
人を傷つけたかもしれないお金が、花と緑に変わっていく。
私は、その現場で震えました。
これまでたくさんの方の想いやお金を背負って挑戦してきましたが、あの感覚は初めてでした。
人を傷つけるかもしれなかったお金を預かり、花に昇華させる。
これは、花屋にしかできない世界平和の迎え方だと確信しました。
「花は、争いを止める言語になる」と。
花は、国境を越える共通言語
そして、こう考えるようになりました。
もし日本中に花と緑の観光地を作り、世界中の子どもを預かることができたら。
中国の子どもも、ロシアの子どもも、アメリカの子どもも。
自分の子どもがいる国を、簡単に攻撃できるでしょうか。
政治家になろうとは全く思っていません。
でも、花でそういう平和な世界を作れたら、それが僕にできる貢献だと思っています。
私は、花で世界平和を目指します。
「未来」を作るための決断
私が目指しているのは、ただ庭を作ることだけではありません。
子供たちが「お腹いっぱい食べて、夢を持てる」社会を作ることです。
今回のプロジェクトで得た資金で余剰資金が発生した場合は、次世代への投資や「子ども食堂」の活動に使います。
タワーマンションも、クルーザーも、飛行機も買える。
でも、「未来」は買えません。
子どもが夢を持つ瞬間。
日本の文化が受け継がれる瞬間。
それは、誰かの“決断”から始まります。
私は、最後の挑戦をします。
あなたは、どの未来を残しますか。
どうか老人のこの夢に、乗っかっていただきたい。
資金の使い道とスケジュール
皆様からご支援いただいた資金は、以下の用途に大切に使わせていただきます。
- 資材運搬費の高騰分補填: 世界情勢の影響で、コンテナ輸送費が例年の2倍以上に高騰しています。
- 現地施工スタッフの渡航・滞在費: 最高の庭を作るための精鋭チーム(約15名)の活動費。
- 植物・資材の現地調達費: 妥協のない素材を揃えるための費用。
【スケジュール】
・2026年4月:資材発送(日本→ロンドン)
・2026年5月上旬:現地入り、施工開始
・2026年5月中旬:チェルシーフラワーショー開幕、審査
・2026年5月下旬:結果発表、一般公開